監修:パールスキンクリニック天神 院長 山道光作 医師(KOSAKU YAMAMICHI, MD, PhD)
(日本形成外科学会認定形成外科専門医(指導医)/日本美容外科学会(JSAPS)認定美容外科専門医/医学博士)
私が英語論文を書く理由は、単に業績を増やしたいからではありません。
まず、自分の臨床から生まれた仮説と、それをどのように検証したのかについて、peer reviewを通じて、その領域を専門とする世界の医師から正当な評価を受けたいと考えています。
臨床を続けていると、「この方法は有効なのではないか」「こういう患者には、この術式が適しているのではないか」という仮説が生まれます。
しかし、自分がそう考えていることと、それが医学的に妥当であることは別です。
仮説の立て方は適切だったのか。
それを検証するための研究デザインは妥当だったのか。
評価項目や統計解析は適切だったのか。
得られた結果をどこまで解釈してよいのか。
そして、その結果から本当にその結論を導いてよいのか。
論文を書くということは、結果だけではなく、こうした検証のプロセスそのものを第三者の評価にさらすことでもあります。
そしてpeer reviewでは、その領域を専門とする査読者から、自分では気づかなかった問題点や別の解釈を指摘されることがあります。
厳しい指摘を受けることもあります。しかし、それを受けて解析を見直し、文献をさらに調べ、discussionを深めることで、論文がより良いものになることがあります。
私にとってpeer reviewは、単に論文の採否を決めてもらうための審査ではありません。
自分の臨床から生まれた仮説と、その検証方法、結果、そして議論まで含めて、国際的な専門家と医学的に議論し、その妥当性を確かめる機会だと考えています。
もう一つ、論文を書く大きな理由は、自分たちが経験し、検証したことを医学文献として残すためです。
論文としてpublishされれば、その知見は正式な医学文献としてアーカイブされます。
そして将来、同じような患者を治療する形成外科医がその論文を見つけ、治療方針や術式を考える際の一つの参考にすることができます。
特に稀な疾患では、大規模な研究を行うこと自体が難しい場合があります。
そのような領域では、たとえ一例のcase reportであっても、病態、手術手技、結果、そこから得られた考察を詳細に記録し、国際的な医学文献として残すことには意味があると考えています。
一人の患者様から得られた知見が、世界のどこかで、将来同じような患者様を治療する医師の参考になる。
それも一つの国際的な医学への貢献だと思っています。
また、論文を書き続けることは、自分自身の日々の臨床にも影響します。
文献を調べ、自分の結果を検証し、査読者と議論することを繰り返していると、
「現在の医学では、どこまで分かっているのか」
「どこまで安全性が示されているのか」
「どこまでなら行ってよいのか」
「どこから先は、まだエビデンスが十分ではなく、慎重であるべきなのか」
ということを常に考えるようになります。
特に美容外科では、新しい術式や技術を取り入れることも重要です。
しかし、技術的に「できる」ことと、医学的に「やってよい」ことは必ずしも同じではありません。
英語論文を書くことは、自分の治療を世界に発信するためだけではなく、自分自身の臨床を科学的に検証し、その検証自体が妥当なのかを問い続けるためのトレーニングでもあると考えています。
そして最後に、私は論文を書くこと自体が、治療を任せてくださった患者様への一つの敬意でもあると考えています。
美容外科手術は、外見を変える手術でもありますが、医療である以上、合併症のリスクも一定量存在します。もともとから存在する患者様自体の解剖学的条件には個人差がありますし、他院修正の場合では前医の手術操作による影響や瘢痕組織などの影響が結果にも関与します。その他、環境要因や心因性要因なども影響するため、経験が豊富な外科医といえど、再手術率(修正)は完全にゼロにするのは難しいものです。再手術率は、もちろん0にするのが理想的ですが、2%や3%など低く抑えられるように最善を尽くすべきが美容外科医、形成外科医の重要な任務だと思っています。
それこそ、人命にかかわるような重大な合併症が発生した話も他所より情報が入ってきますが、そのような事態は回避しなければなりません。患者様の安全性が第一、これはすべての領域に言えることです。
美容外科の施術は、患者様が長い時間をかけて考え、時には悩み、大きな決断をして受けるものであり、その経験や結果は、その方の人生において大切な一部となることもあります。
そのような施術を担当させていただいた以上、手術をして終わりではなく、その結果を可能な限り客観的に評価し、検証する。そこから得られた知見を医学として残し、将来の患者様の治療へとつなげていく。
一人ひとりの患者様から得られた大切な臨床経験を、自分だけの経験として終わらせず、医学として次の世代へつないでいくこと。
それもまた、その方の人生における大切な一部となる美容外科治療を担当させていただいた医師として、患者様への敬意の表し方の一つではないかと、私は考えています。

【執刀・解説医師】
美容外科・美容皮膚科・形成外科
パールスキンクリニック天神 院長 山道 光作 M.D., Ph.D
🏅日本美容外科学会(JSAPS)認定 美容外科専門医
🏅日本形成外科学会認定 形成外科専門医(指導医)
🎖️米国形成外科学会 国際会員
🎖️医学博士
【山道医師の鼻整形における学術業績】
🌏 オックスフォード大学出版局(Oxford University Press)が発刊する国際美容外科誌 Aesthetic Surgery Journal Open Forum に、鼻整形に関する研究論文が掲載されました。
https://academic.oup.com/asjopenforum/article/doi/10.1093/asjof/ojaf110/8249479
🏆 山道院長の鼻整形における研究は、スイスCrisalix社の公式Publicationsに収載され、同社の3Dシミュレーション技術の発展と臨床応用への貢献を評価され、クリスタルトロフィー(Crisalix 3D Expert Certificate)が授与されました。
https://www.crisalix.com/en/publications
📘 『外眼部アトラス』(総合医学社)
「眼瞼下垂/偽性眼瞼下垂(眼瞼皮膚弛緩症)」執筆
🎓 眼瞼下垂・眉下切開に関する臨床研究により医学博士号を取得
🏥クリニック情報・カウンセリングのご予約
パールスキンクリニック天神
住所:福岡市中央区天神3-5-13 山道歯科医院ビル3F
電話:092-401-0082
診療時間:10:00〜19:00
休診日:水日祝
ご予約・お問い合わせ:https://www.pearl-skin.jp/contact
公式サイト:https://www.pearl-skin.jp
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