唇裂鼻形成|肋軟骨を用いて鼻筋・鼻尖・鼻柱を再構築した症例

監修:パールスキンクリニック天神 院長 山道光作 医師(KOSAKU YAMAMICHI, MD, PhD)
(日本形成外科学会認定形成外科専門医(指導医)/日本美容外科学会(JSAPS)認定美容外科専門医/医学博士)

唇裂(口唇裂)に伴う鼻変形では、鼻尖・鼻翼・鼻孔・鼻柱などに左右差や変形を認めることがあります。

一般的な美容目的の鼻整形とは異なり、先天的な骨格や軟骨、皮膚・粘膜などの左右差に加えて、幼少期からの手術による瘢痕や組織の変化が存在することも多いため、鼻全体の構造を評価した上で修正・再建することが重要です。

今回は、幼少期から口唇裂の治療歴がある患者様の唇裂鼻変形に対して、自家肋軟骨を主体として鼻全体の再構築を行った症例をご紹介します。

唇裂鼻形成では「鼻全体のバランス」を考える

唇裂鼻形成の難しいところは、一つのパーツだけを整えても、鼻全体のバランスが必ずしも改善するわけではないことです。

鼻尖や鼻翼、鼻孔、鼻柱だけでなく、鼻背から鼻尖へ続くライン、鼻中隔の形態、鼻翼基部などを総合的に評価する必要があります。

また、既往手術による瘢痕や軟骨・軟部組織の状態も患者様ごとに異なります。

そのため当院では、必要に応じてCTなどによる画像評価や3Dシミュレーションも活用しながら、一人ひとりの鼻の構造に応じた手術計画を立てています。

今回の症例で行った唇裂鼻形成

今回の症例では、自家肋軟骨を用いて、

  • 隆鼻術
  • 鼻中隔延長術
  • 鼻中隔矯正術
  • 鼻尖形成術
  • 鼻柱修正
  • 細片化肋軟骨移植

などを組み合わせました。

鼻先を安定して支持できる構造をつくりながら、鼻筋から鼻尖まで自然につながるラインと、鼻柱・鼻孔を含めた鼻全体のバランスを整えています。

また、上顎骨の劣成長に伴って認められた鼻翼基部の陥凹に対しては、細片化した自家肋軟骨を移植し、ボリュームを補っています。

さらに、鼻だけを独立して考えるのではなく、症例に応じて口唇形成や真皮脂肪移植なども組み合わせ、鼻・口唇を含めた顔貌全体の調和を目指します。

「高くする」だけではない唇裂鼻形成

唇裂鼻の修正では、単純に鼻を高くしたり、鼻先を細くしたりするだけでは十分ではありません。

左右で異なる骨格・軟骨・軟部組織・瘢痕の状態を一つずつ評価し、不足している部分を補い、必要な部分を支持し、本来あるべき位置へ近づけていくことが重要です。

また、形態だけでなく、鼻中隔や鼻腔を含めた機能面への配慮も必要になります。

先天的な組織条件や過去の手術による影響があるため、完全な左右対称をつくることには限界があります。

その条件の中で、できる限り左右差を整え、形態と機能の両方に配慮しながら、顔全体に調和する自然な鼻へ近づけていく。

これが、私が唇裂鼻形成で大切にしていることです。

術前 → 術後9か月

術後9か月では、鼻筋から鼻尖へ続くライン、鼻尖・鼻柱の形態などを含め、鼻全体のバランスの改善がみられています。

唇裂鼻形成では長期的な経過観察も重要であり、移植軟骨や瘢痕の変化を含めて慎重に経過をみていきます。


施術内容

肋軟骨を用いた唇裂鼻修正術

隆鼻術、鼻中隔延長術、鼻中隔矯正術、鼻尖形成術、鼻柱修正、細片化肋軟骨移植、口唇形成、真皮脂肪移植など

料金の目安:150万円~250万円(税込)

※必要となる術式によって費用は異なります。

主なリスク・起こり得る合併症

痛み、腫れ、内出血、血腫、創離開、感染、鼻閉感、左右差、鼻柱偏位の残存、違和感、傷跡、知覚鈍麻、移植軟骨の湾曲など。

※術後経過・仕上がりには個人差があります。
※症例写真は患者様の同意を得て掲載しています。
※自費診療です。


唇裂鼻形成をご検討の方へ

唇裂鼻は、患者様によって骨格・軟骨・軟部組織・瘢痕の状態や、これまで受けてきた手術が大きく異なります。

パールスキンクリニック天神では、鼻形成を専門領域の一つとして、必要な検査・診察を行った上で、それぞれの状態に応じた治療方法をご提案しています。

福岡県外からのご相談も承っております。唇裂鼻の形態や過去の手術後の変形でお悩みの方は、まずはカウンセリングでご相談ください。

執刀医

パールスキンクリニック天神
院長 山道 光作

日本美容外科学会(JSAPS)認定 美容外科専門医
日本形成外科学会認定 形成外科専門医・指導医
米国形成外科学会(ASPS)国際会員
医学博士
Crisalix Expert

鼻形成に関する学術活動

鼻形成における3Dシミュレーション精度と患者報告アウトカムに関する研究を行い、その成果が国際美容外科学誌 Aesthetic Surgery Journal Open Forum に掲載されています。

また、本研究はCrisalix社のPublicationsにも収載され、3Dシミュレーションに関する取り組みに対してCrystal Trophyを受賞しました。

「自然に、洗練する」鼻形成。
患者様一人ひとりの骨格・軟骨・軟部組織を評価し、顔全体との調和を考えた鼻形成を行っています。

なぜ私は英語論文を書くのか ―美容外科医として臨床を検証し、医学として残す意味―

監修:パールスキンクリニック天神 院長 山道光作 医師(KOSAKU YAMAMICHI, MD, PhD)
(日本形成外科学会認定形成外科専門医(指導医)/日本美容外科学会(JSAPS)認定美容外科専門医/医学博士)

私が英語論文を書く理由は、単に業績を増やしたいからではありません。

まず、自分の臨床から生まれた仮説と、それをどのように検証したのかについて、peer reviewを通じて、その領域を専門とする世界の医師から正当な評価を受けたいと考えています。

臨床を続けていると、「この方法は有効なのではないか」「こういう患者には、この術式が適しているのではないか」という仮説が生まれます。

しかし、自分がそう考えていることと、それが医学的に妥当であることは別です。

仮説の立て方は適切だったのか。
それを検証するための研究デザインは妥当だったのか。
評価項目や統計解析は適切だったのか。
得られた結果をどこまで解釈してよいのか。
そして、その結果から本当にその結論を導いてよいのか。

論文を書くということは、結果だけではなく、こうした検証のプロセスそのものを第三者の評価にさらすことでもあります。

そしてpeer reviewでは、その領域を専門とする査読者から、自分では気づかなかった問題点や別の解釈を指摘されることがあります。

厳しい指摘を受けることもあります。しかし、それを受けて解析を見直し、文献をさらに調べ、discussionを深めることで、論文がより良いものになることがあります。

私にとってpeer reviewは、単に論文の採否を決めてもらうための審査ではありません。

自分の臨床から生まれた仮説と、その検証方法、結果、そして議論まで含めて、国際的な専門家と医学的に議論し、その妥当性を確かめる機会だと考えています。

もう一つ、論文を書く大きな理由は、自分たちが経験し、検証したことを医学文献として残すためです。

論文としてpublishされれば、その知見は正式な医学文献としてアーカイブされます。

そして将来、同じような患者を治療する形成外科医がその論文を見つけ、治療方針や術式を考える際の一つの参考にすることができます。

特に稀な疾患では、大規模な研究を行うこと自体が難しい場合があります。

そのような領域では、たとえ一例のcase reportであっても、病態、手術手技、結果、そこから得られた考察を詳細に記録し、国際的な医学文献として残すことには意味があると考えています。

一人の患者様から得られた知見が、世界のどこかで、将来同じような患者様を治療する医師の参考になる。

それも一つの国際的な医学への貢献だと思っています。

また、論文を書き続けることは、自分自身の日々の臨床にも影響します。

文献を調べ、自分の結果を検証し、査読者と議論することを繰り返していると、

「現在の医学では、どこまで分かっているのか」

「どこまで安全性が示されているのか」

「どこまでなら行ってよいのか」

「どこから先は、まだエビデンスが十分ではなく、慎重であるべきなのか」

ということを常に考えるようになります。

特に美容外科では、新しい術式や技術を取り入れることも重要です。

しかし、技術的に「できる」ことと、医学的に「やってよい」ことは必ずしも同じではありません。

英語論文を書くことは、自分の治療を世界に発信するためだけではなく、自分自身の臨床を科学的に検証し、その検証自体が妥当なのかを問い続けるためのトレーニングでもあると考えています。

そして最後に、私は論文を書くこと自体が、治療を任せてくださった患者様への一つの敬意でもあると考えています。

美容外科手術は、外見を変える手術でもありますが、医療である以上、合併症のリスクも一定量存在します。もともとから存在する患者様自体の解剖学的条件には個人差がありますし、他院修正の場合では前医の手術操作による影響や瘢痕組織などの影響が結果にも関与します。その他、環境要因や心因性要因なども影響するため、経験が豊富な外科医といえど、再手術率(修正)は完全にゼロにするのは難しいものです。再手術率は、もちろん0にするのが理想的ですが、2%や3%など低く抑えられるように最善を尽くすべきが美容外科医、形成外科医の重要な任務だと思っています。

それこそ、人命にかかわるような重大な合併症が発生した話も他所より情報が入ってきますが、そのような事態は回避しなければなりません。患者様の安全性が第一、これはすべての領域に言えることです。

美容外科の施術は、患者様が長い時間をかけて考え、時には悩み、大きな決断をして受けるものであり、その経験や結果は、その方の人生において大切な一部となることもあります。

そのような施術を担当させていただいた以上、手術をして終わりではなく、その結果を可能な限り客観的に評価し、検証する。そこから得られた知見を医学として残し、将来の患者様の治療へとつなげていく。

一人ひとりの患者様から得られた大切な臨床経験を、自分だけの経験として終わらせず、医学として次の世代へつないでいくこと。

それもまた、その方の人生における大切な一部となる美容外科治療を担当させていただいた医師として、患者様への敬意の表し方の一つではないかと、私は考えています。

【執刀・解説医師】
美容外科・美容皮膚科・形成外科 
パールスキンクリニック天神 院長 山道 光作 M.D., Ph.D
🏅日本美容外科学会(JSAPS)認定 美容外科専門医
🏅日本形成外科学会認定 形成外科専門医(指導医)
🎖️米国形成外科学会 国際会員
🎖️医学博士

【山道医師の鼻整形における学術業績】
🌏 オックスフォード大学出版局(Oxford University Press)が発刊する国際美容外科誌 Aesthetic Surgery Journal Open Forum に、鼻整形に関する研究論文が掲載されました。

https://academic.oup.com/asjopenforum/article/doi/10.1093/asjof/ojaf110/8249479

🏆 山道院長の鼻整形における研究は、スイスCrisalix社の公式Publicationsに収載され、同社の3Dシミュレーション技術の発展と臨床応用への貢献を評価され、クリスタルトロフィー(Crisalix 3D Expert Certificate)が授与されました。

https://www.crisalix.com/en/publications

📘 『外眼部アトラス』(総合医学社)
「眼瞼下垂/偽性眼瞼下垂(眼瞼皮膚弛緩症)」執筆

🎓 眼瞼下垂・眉下切開に関する臨床研究により医学博士号を取得

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