近年、海外で美容整形を受ける方が増えています。
海外にも優れた美容外科医や医療機関は存在しますが、海外での手術には、渡航を伴う医療ならではの注意点があります。
特に、術後に合併症が生じた場合や、帰国後に修正手術が必要となった場合には、次のような問題が生じることがあります。
1.手術内容の詳細が分からない
どのような術式が行われ、どの組織にどのような処理が加えられたのか、正確な手術記録を入手できない場合があります。
2.使用された医療材料が不明
インプラントや移植材料などについて、製品名、材質、使用部位などの詳細が分からないことがあります。
3.合併症への対応が遅れる可能性
帰国後に感染、血流障害、創傷治癒不全などが生じた場合、手術を担当した医師による迅速な診察や処置が難しくなることがあります。どこにどのような操作が加わったのか詳細が不明のままでは、国内での対応が困難となるケース。
4.日本では未承認のエビデンスが不十分な医療材料が使用されている場合がある
日本国内で承認されていない、安全性・長期成績に関するエビデンスが十分でない医療材料が使用される場合があります。
ただし、日本で未承認であることだけをもって、直ちに危険な材料と判断できるわけではありません。
5.医師の技術力を事前に判断することが難しい
手術を執刀する医師の専門研修歴、資格、手術経験、合併症への対応能力などを、限られた情報から正確に評価することは容易ではありません。
6.手術の全工程を同一の医師が担当しない場合がある
カウンセリングを担当した医師と実際の執刀医が異なる場合や、手術の一部を別の医師が担当する場合があります。
複数医師による手術自体が問題なのではなく、誰がどの工程を担当するのか、責任体制が明確であることが重要です。
7.術後のアフターフォローが不十分になる可能性
美容外科手術では、術後の経過観察や必要に応じた処置が重要です。
短期間の滞在では、帰国後の診察や長期的なフォローアップが難しくなる場合があります。
8.言葉の壁による認識の違い
通訳を介していても、希望する形態、ラインのタイプ、自然さの程度など、細かな美的認識を十分に共有できない場合があります。
美容外科では、単に術式を決めるだけでなく、患者様と医師が術後のゴールや美的認識を具体的に共有することが重要です。
美容外科医として伝えたいこと
美容外科手術では、手術そのものの技術だけでなく、術前の適応判断、使用材料の選択、合併症への対応、術後の継続的な管理まで含めて医療の質が問われます。
海外での美容整形を検討される場合には、価格や症例写真だけで判断せず、使用材料の情報、執刀医の資格・経験、帰国後の対応体制まで確認していただきたいと思います。
大切なのは、どの国で手術を受けるかだけではなく、誰が、どのような医療体制で、術後まで責任を持って診療するのかということです。
パールスキンクリニック天神 美容外科・美容皮膚科・形成外科
院長 山道光作