上顎前歯部歯槽骨骨切り術(上顎セットバック)
上顎(前歯)が前方へ突出している上顎前突を改善する手術です。
上顎の前歯だけが下顎の前歯よりも5mm以上突出している場合と、上下ともに前歯が突出しすぎている場合があります。前歯が出すぎていることで、顔貌の美的バランスが崩れ、次のような症状がお悩みとなってしまいます。
こんな症状でお悩みの方に
- 口元の突出感
- 唇を閉じることができず、常に唇が半開きのような状態になる(口唇閉鎖困難)
- いわゆる出っ歯がひどく、上唇がくちばしの様に出てみえる
- 前歯で肉を噛みきれない
上顎だけが出ている場合には、上顎第4歯(第1小臼歯)を抜歯して歯槽骨部を切除し、左右の第1歯から第3歯までの上顎骨を水平に骨切りします。その後、硬口蓋をV字型に骨切りして分節し、上顎前歯部歯槽骨骨切り術を行い上顎歯槽骨を後方へ移動(セットバック)させます。
上下の歯が両方とも出ている場合には、上下顎前歯部歯槽骨骨切り術を行い、上顎歯槽骨と同時に下顎歯槽骨も移動(セットバック)させる必要があります。
この手術は、2~3時間で終了し、翌日からの食事摂取が可能なため、ルフォー骨切りや下顎枝矢状分割術(SSRO)や下顎枝垂直骨切り術(IVRO)よりもダウンタイムが短いことが利点です。日帰りの全身麻酔ですが、翌日からの食事摂取も可能なため、比較的短期間で通常生活に復帰することができます。
これらの手術により、上下唇の後退、鼻唇角の鈍角化が改善し口元の突出感が解消されます。口元がリラックスし自然な笑顔を出せるようになり、自然な口唇閉鎖も可能となります。
術後に歯列矯正が必要となります。歯列矯正の治療費は、矯正歯科で別途費用となります。
術前検査
・CT検査(歯科)、3D透明立体モデル作成(歯科)、歯列モデル作成(歯科)、パノラマ撮影(歯科)、頭部X線検査、胸部X線検査、心電図、血液検査
・同ビル内の山道歯科医院にて、左右の上顎第4歯(第1小臼歯)または第5歯(第2小臼歯)を抜歯します。
手術方法
上顎前歯部歯槽骨骨切り術(上顎セットバック)
上顎口腔粘膜4か所に切開を加えます。骨膜下に、トンネル状に剥離して、歯槽骨を広範囲に露出させます。サジタルソーを用いて小臼歯部歯槽骨を口蓋側骨面まで切除します。歯槽骨を垂直に骨切りし、続いて梨状孔まで水平に骨切りします。
次に、硬口蓋を粘膜下に剥離し、V字型骨切りを行い、余剰な骨を削除します。唇側正中部の縦切開部から,鼻中隔下部を離断し、歯槽骨の可動性を得ます。骨切りした歯槽骨骨片を動かし、下顎との噛み合わせ、軟部組織・顔貌バランスの良い位置で、チタン性のミニプレートで固定します。
口腔内の創を、吸収性の糸で縫合して終了です。
施術の詳細
麻酔 | 全身麻酔 |
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手術時間 | 2〜3時間 |
【術後】 | |
圧迫固定 | 術後3〜4日間はフェイスバンドで圧迫し腫れを予防します。 |
痛み | 術後の痛みは軽い鈍痛で、2~3日目がピークで徐々に軽減します。 鎮痛薬を内服していただきます。 術後3〜4日はクーリング(冷却)を行っていただきます。 |
腫れ | 1週間目をピークに2週間程度で引きます。 術後3〜4日はクーリング(冷却)を行っていただきます。 |
術後のケア 生活上の注意点 |
術後は約2〜3週間、うがいを行って頂きます。 食後の歯磨きを行い、口腔内を清潔に保ってください。 手術前後の1ヶ月間は、飲酒・禁煙をお控えください。 術後1ヶ月程は、硬い食べ物をお控えください。 |
抜糸 | 口腔内は吸収性の糸で縫合しますが、当院では抜糸を行っております。 |
通院 | 翌日、2週間後、1か月後、6か月後 翌日にドレーンチューブを抜去します。 |
シャワー・入浴 | シャワーは翌日から、入浴は3日後から可能です。 |
リスク・合併症
痛み、1〜2週間程の内出血、腫れ、血腫、創感染、創離開、プレート感染、糸の感染、骨髄炎、蜂窩織炎、プレート周囲の仮骨形成、プレートの脱落、浮腫み、形態の変化、上唇・歯肉の感覚麻痺、唇の擦り傷、固定した金属プレートがレントゲンやCTに写るなど
料金
上顎前歯部歯槽骨骨切り術(上顎セットバック) | 1,360,000円 |
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下顎前歯部歯槽骨骨切り術(下顎セットバック) | 1,240,000円 |
上下歯槽骨骨切り術(上下顎セットバック) | 1,980,000円 |
※他院修正は20%加算
※料金は全て税込です。